技術紹介(照射後試験(例))

 
外観観察
 デジタルマイクロスコープによる試料の低倍観察を高解像度で行います。直接人が近づけないほどの放射線を出す試料の形状や表面の粗さ、色合いなどの概略情報を調べます。
破面観察
 材料が破断したときの破面などを走査型電子顕微鏡を用いて鮮明に撮影し、破損原因究明に役立てます。
試料切断、加工
 数十センチの照射済金属の塊からバンドソーやダイヤモンドカッターを駆使して様々な形状の小片を切り出したり、フライス盤や放電加工機でさらに照射材を試験片の形に仕上げ加工します。
試料研磨
 金属組織を観察するため、金属表面を鏡面に仕上げる研磨を行います。遠隔操作による自動研磨装置を用いて材料の種類に応じて最適な研磨が可能です。
金相観察
 約1000倍まで観察可能な光学顕微鏡を用いて、照射材の金属組織を撮影します。最適なエッチング技術によって金属の結晶粒、酸化物、水素化物等の分布状態やサイズを調べることができます。
硬さ測定
 マイクロビッカース硬度計を用いて、照射材の金相試料上で硬さ分布を測定できます。
定性分析技術
 電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて、照射材試料表面の元素濃度の分布状態をマッピングやポイント分析によって調べることができます。
X線回折
 X線の反射角が材料の構造によって異なる現象を利用して、材料の構造や格子定数を調べます。
ミクロ組織観察・分析技術
 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、材料中の照射欠陥を観察し、それらのサイズや分布を調べます。また、電子線を1nm程度まで絞ることができるFE-TEMを駆使し、結晶粒界近傍の元素分布を調べ、照射材の応力腐食割れメカニズム研究に役立てています。さらに最近では、照射材の様々な劣化現象メカニズム研究のため、元素の定量分析装置や結晶粒の方位を可視化する装置を装備したFE-SEM/EDS/EBSDを新規導入し、微細な領域の定量分析や局所ひずみ評価など非常にミクロな部分の情報を得る技術に力を入れています。